FBI SWAT Handgun Trial
<FBI SWATハンドガントライアル>



真上:ノヴァック ローマウントサイト
写真左:スプリングフィールド"ビューロー"モデル


1994年FBIはSWATトレーニングを受けたエージェントに支給するためのハンドガンの仕様を発表した。1996年10月25日に仕様書の改訂版が発表され、150ページ以上にわたる詳細な仕様書になった。1997年に参加メーカーに提出されたリクエスト フォー プロポーザル(サンプル提出要求)のジェネラル リクワイヤメント(一般的な性能要求) I..1項に記載されているように、そのハンドガンは"スチールで作られ、45ACPカートリッジを使用するセミオートマチック、シングルカラム、シングルアクションピストル"であった。

この時点ではコルトのみがシリーズ80でパテントを所有している、ファイアリングピンセイフティも性能要求に含まれていた。このため、FBIはコルト以外のメーカ−が"ドロップ(落下) テスト"に合格すればファイアリングピンセイフティに関する要求は放棄するという噂もあった。 最終的にトライアルに勝ち残ったスプリングフィールドの銃にファイアリングピンセイフティは装備されていない。このトライアルの仕様書を作成するため、FBIは著名なガンスミス スティ−ブ ナストフを雇い入れた。 仕様書の他のすべての項は一般的な書き方がされていたが、"ビル ウィルソンの#47DEマガジン(8発装填、0.625インチの高さのベースパッド付)" と、"Wolffのマガジンスプリング" を使用すると言うところだけ固有名詞が使われていた。仕様書には、トライアルで残った銃は50,000発の性能保証をすることと明記されていた。

仕様書の中でも特に重要視されたのは銃の精度と耐久性であった。FBIの現行の支給弾薬であるレミントン ゴールデンセーバー 230グレイン ジャケッテッド ホローポイントを使用し、銃をランサムレストに固定した状態で10発発射し、25ヤードはなれたターゲットに1.25インチ以上のグルーピングを作らず、20、000発の耐久テストを行った後でも、最初のグルーピングから15%以上大きくなってはならないというのが要求された精度と耐久性であった。その他の仕様を見ていくと、USPSAのリミテッドクラスの仕様に非常に近い、フルハウスカスタムキャリーガンそのものであることがわかる。

このトライアルにはレスベアー、コルト、キンバー、スプリングフィールド、ウィルソン、シリンダー&スライド(ビル ラフリッジ)、マット ギッシュなど、カスタム/ファクトリーのトップメーカーが参加したが、予備テスト、集中テストの結果最終的にはスプリングフィールドの1911−A1をベースにしたカスタム"ビューローモデル"が契約を勝ち取った。スプリングフィールド社にとっても、このFBIのプロジェクトは非常に困難を極めたと同社のカスタムショップのディレクター、デイビッド ウィリアムス氏は語っている。信頼性を試す集中テストを終えるまで、ビューローモデルは20,000発を発射したが、その後も25ヤードで1.5インチの精度を保っていた。しかし、このトライアルに参加したビル ウィルソンらによるとFBIの現行の支給弾薬であるレミントン ゴールデンセ−バーは本質的に精度が低く、精度の高い銃がテストに落ちる原因となったと語っている。

"この弾は当たらない"とビル ウィルソンは語る。"市場に有るすべてのバレルを試してみた -バースト, ナウリン, ストームレイク、エド ブラウン、そして我々のバレル(ウィルソン)- 一番良かったグルーピングでもランサムレストから撃って1.6インチにしかならなかった。フェデラルの弾を撃てば1インチ以下にまとまる銃でゴールデンセ−バーを撃つと2インチになってしまう"ウィルソン、キンバー、コルトからの2丁のすべては精度テストで不合格だった。レスベア−、ラフリッジ(シリンダー&スライド)は精度テストを行う以前の段階でテストを辞退してしまった。これについてFBIからのコメントはない。

 [ ビューローモデルの主な改良点は以下の通りである。]
○マッチグレードのスライド、フレーム、バレル、ブッシング
○磨かれ、チューンされたエキストラクター
○磨かれたフィーディングランプとバレル基部
○ビーバーテール グリップセイフティ
○20LPIのチェッカード フロントストラップ
○チェッカード メインスプリングハイジング(フラット)にSmith&Alexander マガジンウエル付
○スプリングフィールド カスタムシアー、ハンマー
○張力4.5ポンドのカスタムトリガー
○ウィルソン アンビ サムセイフティ
○ロウワード、フレアード エジェクションポート
○ノヴァック ローマウントリアサイト/ありみぞに固定されたフロントサイト 
  トリチウムインサート入り
○キャリーベヴェルパッケージ
○フルチェッカード ココボログリップ
○ブラック−Tフィニッシュ
○ウィルソン8発装填マガジン2個つき
○ビューローモデル刻印、フレームとスライドに"FBI"から始まるシリアルナンバー刻印。

スプリングフィールド社はFBI SWATに全部で5000丁のビューローモデルを納入する。またそれ以外に何丁かが法執行官や一般に販売された。(型番PC9111 価格$1、895)
スプリングフィールド社はさらにFBIのビューローモデルをベースにした廉価な民間バージョンのTRP(タクティカル レスポンス ピストル)の販売を開始する。 これはビューローモデルと同じ特徴を数多く持つが、より質素なものでステンレスかマットブラック仕上げとなっている。